室外機に水をかけると節電になる?実際にやってみた結果と注意点

エアコンの豆知識

エアコンの電気代が高くなる夏、少しでも節電したいと考える人も多いのではないでしょうか?そんな中、SNSなどで「室外機に水をかけると節電になる」という情報を見かけたことはありませんか?濡れタオルを使って、室外機の天板を冷やすことで冷却効率を高められて節電できると言われています・・

「正直、天板を冷やしただけじゃ・・」という感想ですが、実際にやってみないことには分からないので検証してみました!

先に結論から言うと、消費電力にはほとんど影響がありませんでした。つまり、節電にはならないです。

この記事では、詳細な検証結果とあわせて、注意点や本当に効果のある室外機の節電対策についてもご紹介します!


室外機に水をかけると節電になると言われる理由

エアコンの室外機は、冷房時に室内から運び出した熱を屋外に放出する装置です。
このとき、周囲の気温が高すぎると熱をうまく放出できず、コンプレッサーがフル稼働して電気代が増えることがあります。

そのため、

  • 「水をかけて冷やせば、熱交換効率が上がるのでは?」
  • 「濡れタオルで天板を冷やせば節電になるかも?」

といった発想につながるわけです。

では、実際にやってみたらどうなったのでしょうか?


実際にやってみた!濡れタオルで天板を冷やす実験

今回は、以下の条件で検証しました。

  • 外気温:約35℃(晴天)
  • 室外機:南向きで直射日光あり
  • 室内:室温30℃スタートでリモコン設定温度は25℃で固定。
  • 方法:室外機の上部(天板)に濡れたタオルを掛けて冷やし続ける
  • 電力測定:ワットチェッカーを使ってエアコンの消費電力を計測
  • 温度測定:室外機の内部含め5点計測

ちなみに使用したワットチェッカー、ちょっと高いですがリアルタイムで消費電力が分かったり、エクセルデータとして落とせるのでけっこう便利です。

温度測定の場所

消費電力も測定しますが、濡れタオルの効果で室外機のどの部分がどれほど冷却されるのかも見ておきたいので、以下のように5つの場所の測定を行います。

温度センサを取り付けた目的
  • ①天板(外側):冷却有り無しによる表面温度の変化確認
  • ②天板(内側):表面温度が内部へどれくらい影響しているのかの確認
  • ③天板付近(断熱材):断熱材の温度影響確認
    ※断熱材は下にある電装基板を結露から守るために取り付けられていることがあります。
  • ④天板付近:天板から離れた際の温度確認(1~2cmくらい)
  • 外気温(室外機背面):消費電力にかなり影響を及ぼすため監視する

濡れタオルで天板の温度がどれくらい下がると、消費電力にどれほど影響があるのか?このあたりを実際に見ていきます。

結果:冷却による消費電力の変化はなし

濡れタオルあり⇒濡れタオルなし⇒濡れタオルありの順で消費電力と各温度の動きを見ました。

最初にリモコンをオンしてから10分後くらいに黒色の消費電力が一気に下がっていきます。これは室内温度が下がってきたのでパワーを弱めて運転しているため、濡れタオルによる節電効果ではありません。

次に、ある程度消費電力が落ち着いてきた段階で濡れタオルを外してみました。天板の温度が50℃くらいまでグンと上がりますが、消費電力への影響はありません。また、この時室内温度は設定温度の25℃で安定していることと、外気温の変動がないことからも天板冷却における節電効果はないように思います。

最後に、一回目の冷却が安定運転ではなかったのでもう一度濡れタオルありで測定を行いました。ここでも天板温度が30℃くらいまで下がるもやはり節電効果は見られずでした。

冷却効果自体はある

また、濡れタオルありなしでの温度は以下の表のようになりました。

天板表面が一番冷却効果は大きく-20℃となっています。その内側では伝熱がしやすいので-15℃の冷却効果がありますが、断熱材を挟むと-10℃まで冷却効果が薄まります。

さらに天板から1~2cm離れた空間では-6℃の冷却効果に留まり、もっと離れるとほぼ冷却効果はないのでは?という結果になっています。(もっと離れたところも測定したかったですが、ファンの回転や電装品接触やらの危険性があるのでやめました。)

温度センサ濡れタオルあり濡れタオルなし
①天板(外側)29.1℃50.3℃-20℃
②天板(内側)31.8℃46.8℃-15℃
③天板付近(断熱材)32.8℃43.1℃-10℃
④天板付近35.1℃41.2℃-6℃
結果まとめ

天板の冷却効果はあるものの消費電力に変化は無く、節電効果は見られませんでした。

  • 消費電力の差:±数ワット程度(誤差範囲)
  • 室温や冷え方に変化なし
  • 天板は最大50℃まで熱くなり、冷却すると30℃くらいまで下がる。
  • 天板の冷却効果はあるがそれによるメリットがない。

濡れタオルや水かけの注意点

「効果がなかった」だけで済めばまだいいですが、やり方によっては故障リスクもあるため要注意です。

水を直接かけると…

  • 電装部やファンモーターに水が入ってショートや故障の原因
  • 水道水に含まれるミネラル分でアルミフィンが劣化・腐食

タオルで覆うと…

  • 熱交換器に被さってしまうと、通気を妨げて逆効果になることも
  • 乾いてくると熱がこもりやすくなるかも

本当に効果がある節電対策5選

では、何をすれば効果的なのでしょうか?
有名どころですが挙げておきます。

節電対策効果注意点
室外機に日陰を作る天板につけるアルミシートは×。
室外機まわりの風通しを良くする熱ごもりしないように。
室外機の熱交換器表面を拭く。目詰まりしてるレベルなら効果抜群です。
設定温度を1℃上げる定番ですね。
節電モードや風量自動を活用機種によって効果は異なります。

まとめ:水かけや濡れタオルはおすすめできない

「室外機に水をかけると節電になる」という話は、理論的には一理あるように思えても、実際は効果が弱いもしくは効果なしのように思います。

さらに、故障や安全面のリスク、手間が大きすぎることを考えるとおすすめできません。

節電したいなら、まずは「日かげ作り」「風通し」「設定温度」といった正攻法の対策から始めましょう!

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