「標準工事込みって書いてあったのに、見積もりが思ったより高い…」
エアコン購入時、このように感じる方はけっこう多いように思います。
実は、エアコンの工事費は「家の構造」や「設置環境」によって大きく変わります。
同じエアコンでも、工事しやすい家と工事が難しい家では、数万円単位で差が出てきます。
特に以下のようなケースでは、標準工事だけで収まらず、追加料金が発生しやすくなります。
・室内機2階設置&室外機1階設置
・室外化粧カバーを使用する
・隠ぺい配管
・屋根置きや壁面置き
・100Vから200Vへの変換
・室内化粧カバー
この記事では、元エアコン設計者・現役工事目線で、エアコン工事費が高くなりやすい家の特徴を「戸建て」と「マンション」に分けてわかりやすく解説します。
まず知っておきたい|エアコンの「標準工事」とは?

まずは、一般的な「標準工事」の内容を簡単に整理しておきます。
標準工事に含まれることが多い内容は、以下のようなものです。
・配管4mまで
・室内機と室外機が同じ階にある
・室外機は地面置きまたはベランダ置き
・エアコン専用コンセントあり
・配管を通す穴あり
・テープ仕上げ
つまり、工事しやすい一般的な住宅を前提にしています。
逆に言えば、ここから条件が外れると追加料金が発生しやすくなります。
実際に工事をしている体感としては、8割くらいの家で何かしらの追加工事費が発生するイメージです。
一方で、購入される方の多くは、
「標準工事込みだから追加料金はかからない」
と思っているケースがかなり多いように感じます。
そのため、
「思ったより工事費が高い…」
「聞いていた話と違う…」
というギャップが生まれやすいのが、エアコン工事の難しいところです。
【戸建て編】エアコン工事費が高くなりやすい家の特徴
室内機2階・室外機1階の「立ち下ろし」

戸建てで特に多いのが、
「室内機は2階、室外機は1階」
というパターンです。
この場合、
・配管が長くなる
・高所作業になる
・はしご作業になる
・化粧カバーも長くなる
など、作業負担が一気に増えます。
特に最近は、見た目を重視して室外化粧カバーを付ける方も多く、工事費が高くなりやすい代表例です。
「2階だから少し高いだけ」と思われがちですが、実際は追加費用が大きくなりやすい工事の一つです。
シンプルにまっすぐ下ろすだけでも、配管延長、カバー延長で最低でも2万円は追加でかかります。加えて、室外機の場所が遠かったり、曲がりがあったり、はしご設置が困難だとさらに追加料金がかかります。
室外化粧カバーを使用する

最近は外壁に合わせて、配管をきれいに見せる「室外化粧カバー」を希望する方が増えています。
5色展開で多くの家はアイボリーを選んでいる方が多い印象です。
ただし、化粧カバーは意外と高額になりやすい工事です。
理由は、
・曲がり部材が多い
・延長が発生しやすい
ためです。
特に2階から1階まで長く下ろす場合は、カバーだけでかなりの長さになることもあります。
見た目はかなりきれいになりますが、その分費用も上がりやすいポイントです。
つけるべきかつけないべきかについて、新築の家は絶対につけた方がいいです。
築4,50年の古家などはテープ巻きでもいいと思いますが、基本的にはつけた方がいいと思います。
化粧カバーの再利用ができない
既存の化粧カバーがあっても、再利用できないケースがあります。
例えば、
・経年劣化で割れている
・変色している
・サイズが合わない(うるさらなど)
・塗装されている
などです。
また、古いカバーは取り外し時に破損しやすく、「再利用前提だったのに交換になった」ということもあります。
中でも、塗装されている場合は99%再利用できないです。ハンマーなどで叩いて割らないと取れないケースがほとんどなのでカバーの取り換えが必須となります。
外壁塗装をされる場合は化粧カバーを養生してもらって、塗装しないようにするのも一つの手です。
隠ぺい配管になっている

隠ぺい配管とは、壁の中に配管を通している施工方法です。
見た目がすっきりするメリットがありますが、交換工事では難易度が上がりやすいです。
例えば、
・既存配管の再利用確認
・ガス漏れリスク
・ドレン勾配確認
・古い配管サイズ問題
など、通常工事より確認項目が増えます。
また、隠ぺい配管は工事できる業者が限られる場合もあり、結果的に工事費が高くなりやすいです。隠ぺい配管での工事費は5000円~15000円までとかなり幅があるので、見積もりは必須ですね。見積りなしだと工事がキャンセルになる可能性が高いです。
これからお家を建てられる方で隠ぺい配管を考えられている場合は、慎重に検討した方が良いです。
屋根置き・壁面置き・天吊りなど特殊設置

室外機を特殊な場所に設置している家も、工事費が高くなりやすいです。
例えば、
・屋根置き
・壁面置き
・公団吊り
・二段置き
などがあります。
これらは専用金具が必要になるうえ、高所作業になるケースも多いため、通常設置より作業難易度が上がります。二段置きなどを通常の庭置きと勘違いをしている方も多いですが、ご購入前に必ず金具を使用していることを申告しておきましょう。トラブルが少なく済みます。
また、古い金具を使っている場合は注意が必要です。
金具の再利用ができない

特殊設置で意外と多いのが、
「既存金具の再利用不可」
です。
例えば、
・サビが進行している
・強度不足
・サイズが合わない
・劣化して危険
・重い室外機に買い替え
などの場合、安全上の理由から交換になることがあります。
特に屋根置き金具や壁面金具は雨風にさらされるため、劣化しやすいです。
金具交換になると、15000円くらい追加費用がかかります。
コンセントが遠い・位置が悪い
エアコン付近に専用コンセントがない場合、電気工事が追加になることがあります。
古いエアコンは電源コードが長いため、新しいエアコンに買い替えた時に届かなくなるケースがけっこうあります。そういう場合はコンセント延長が必要になり、5000円程度かかります。
また、古い住宅では、そもそもエアコン専用回路がないケースも珍しくありません。
絶対にNGなのが延長コードを使用している場合です。エアコンは消費電力が大きい家電製品なので火災の原因などになるため専用コンセントの増設が必須になってきます。その場合はブレーカーの場所とエアコン設置位置にもよりますが、数万円はかかってきます。
100Vから200Vへの切り替えが必要

14畳以上のエアコンでは、200V仕様が増えます。
冷えが悪いから畳数を上げる場合があるかと思いますが、その場合に電圧を100V⇒200Vに切り替える必要が出てきます。それに付随してコンセント交換、そしてブレーカーが200Vに対応していない場合はブレーカー交換も必要になってきます。フル交換で1万円近くかかります。
電圧切替せずに冷えを上げたい場合は、上位モデルを検討してみて下さい。下位モデルの14畳用より上位モデルの10畳用の方が冷えが良い場合もよくあります。
狭小住宅・作業スペースが狭い

最近増えている狭小住宅も、工事難易度が上がりやすいです。
例えば、
・はしごが立てにくい
・隣家との距離が近い
・搬入が大変
・作業スペース不足
など、通常より作業効率が落ちやすくなります。
特に都市部では、想像以上に工事が難しいケースもあります。
お隣様の敷地からはしごをかける必要があったりするので、事前にお声がけしているとトラブルなく工事が可能となります。
配管穴の位置が高すぎる
意外と見落とされやすいのが、配管穴の位置です。
穴位置が高すぎると、
・配管の曲げが厳しくなる
・室内機が下げられない
・ドレン勾配が取りづらい
・施工難易度が上がる
などの問題が発生します。
場合によっては追加部材や施工調整が必要になることもあります。
自分でできるトラブル回避法は、現在の室内機の高さと同じエアコンを買うことです。ほとんどのエアコンは高さが25cmタイプと30cmタイプに分かれます。現在25cmタイプのエアコンをつけていて、30cmタイプのエアコンに買い替えると取付け不可になるケースがあるので要注意です。特に上位モデルほど30cmタイプとなっています。
室外機までの距離が遠い

エアコン工事は、配管距離が長くなるほど費用が上がります。
例えば、
・配管延長
・ドレン延長
・化粧カバー延長
などが追加されます。
大型戸建てでは、想像以上に配管距離が長いことも多く、見積もりが高くなりやすいです。
【マンション編】エアコン工事費が高くなりやすい家の特徴
室内化粧カバーを使用する

マンションでは、室内化粧カバーを希望する方が非常に多いです。
特にリビングなどでは、
「配管を見えにくくしたい」
「見た目をきれいにしたい」
という理由で人気があります。
ただし、室内化粧カバーは意外と手間がかかる工事です。
例えば、
・曲がりが多い
・梁(はり)を避ける必要がある
・細かい加工が必要
・施工精度が求められる
など、通常のテープ巻き仕上げより作業時間が増えやすくなります。
また、部材費も比較的高いため、追加料金が発生しやすい工事の一つです。
だいたい1万円~って感じですね。お店によってかなり金額差がでる工事の一つです。
コンクリートアンカーが必要

マンションでは、コンクリートへの固定作業が必要になるケースがあります。
壁に柱が入っていれば問題ないのですが、GL工法という施工方法の場合エアコンを固定する柱がないため、コンクリートにアンカーを打ってエアコンを支える必要があります。
アンカーを打たないと画像のように石膏ボードごと剥がれ落ちます。最悪パターンの施工ですね。。
数千円くらいですかね。
エレベーターなし
エレベーターがないマンションも、工事費が高くなりやすい要因の一つです。
特に、
・4階
・5階
・大型エアコン
になると、室外機の搬入だけでもかなり大変です。
場合によっては、
・追加人員
・運搬費
・作業時間増加
などが発生するケースもあります。
特に30kg〜60kg近い室外機を階段で運ぶ作業は、かなり負担が大きいです。
実は追加料金が発生しやすい「見落としポイント」
ここまで紹介した内容以外にも、現場では追加料金につながりやすいポイントがあります。
配管穴がない
新規設置の場合、そもそも配管穴がないケースがあります。
その場合、
・穴あけ工事
・貫通スリーブ施工
などが必要になります。
また、2006年9月以前に建てられた家ではアスベスト対策が必要になるため、穴あけ費用が数万円かかってきます。
タイル壁・コンクリ壁
外壁が特殊素材の場合も、工事費が上がりやすいです。
例えば、
・タイル壁
・ALC
・コンクリート壁
などです。
特にタイル壁は割れリスクもあるため、慎重な施工が必要になります。
なので、事前見積もりが必須となります。
室外機が大きくなる場合
現在の室外機を狭いスペースに置いている場合で室外機が大きなエアコンを購入した場合、物理的に設置ができなくなるケースもよくあります。
その場合、配管延長やカバー延長がかかるため費用が高くなりがちです。
また、二段置き金具を使用している場合も同様で既存金具に収まらないケースもあり、新規金具が必要になってきます。金具入れ替えに伴って、二段置きのもう一方のエアコンも取り外して載せ替えをする必要があるためかなり高額になってきます。
自宅に駐車場がない
意外と見落とされがちですが、駐車環境も工事に影響します。
これは業者にもよりますが、パーキング代がかかる場合もあります。
もし、自宅に駐車場がある場合は工事車両のために空けておくと、職人さんはかなりうれしくなります。ただ、ハイエースなどの大型バンにはしごなどをキャリアに積んでいるため、カーポートがある場合は駐車できない場合もあります。2.5mくらい高さがあれば入れると思います。
ちなみに駐車場を空けておくと、作業時間が大幅に短縮されるので自分自身のためにもなります。
逆に「工事費が安く済みやすい家」の特徴
逆に、以下のような条件の家は、比較的標準工事で収まりやすいです。
・室内機と室外機が同じ階
・配管4m以内
・専用コンセントあり
・室外機が地面置き
・配管穴あり
・作業スペースが広い
特に、
「穴あり・専用コンセントあり・同一階」
の3つが揃っていると、追加費用が少なく済みやすいです。
まとめ|エアコン工事費は「家の条件」でかなり変わる
エアコン工事費は、
「どの業者に頼むか」
だけではなく、
「どんな家なのか」
によって大きく変わります。
特に、
・2階→1階の立ち下ろし
・化粧カバー
・隠ぺい配管
・特殊設置
・長距離配管
などは、追加費用が発生しやすい代表例です。
そのため、工事費で後悔しないためには、
「購入前に自宅の条件を把握すること」
が非常に重要です。
最近は写真見積もりに対応している業者も増えているため、不安な場合は事前に相談しておくと安心です。
私もエアコン工事の見積りサービスを行っていますので、「少し不安だな」と感じた方は、お気軽にご相談ください。
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